こんなことってあるんだな

2022年03月07日

春山♂:30代半ば アパレル会社のエリアマネージャー

夏木♂:30代半ば 工場勤務 中間管理職 春山とは高校、大学の同級生


春「いやー、久しぶりだなぁ。」

「もう最後に会ってからどれくらいになる?」

春「高校の同窓会以来だから10年ぶりくらいかぁ。」

「もうそんなに経つのかぁ。」

春「年を重ねると時間の流れが早く感じるよなぁ。」

「あー、わかるそれ。」

春「一日が20時間くらいに感じるもんなぁ。」

「ごめん、それはわからない。」

春「ははは、まぁ飲もう!こうして久しぶりに会ったんだし!」

「そうだな!じゃあ乾杯しよ!」

春「うぃー!かんぱーい!」

「かんぱーい!」

(ゴクゴク…ぷはー!)

春「いやー、美味い!仕事の後のビールは格別だな!」

「そうだなぁ。」

春「秋島も来れたらよかったのにな。」

「あー、なんか用事があるって言って来れなかったからな。」

春「どうせ女だろ?あいつ昔からモテてたもんなぁ。」

「でもさ、あいつのタイプってお世辞にも可愛くないよな?」

春「そーそー、ブスばっかでなぁ!」

「高校の時もギャルメイクの女捕まえてたけど、メイクしてるのにそれは無いって顔してたしな。」

春「そーそー、ヤマンバみたいなメイクだったな!」

「しかも、すっぴんがオカメみたいな顔してたんだぜ?」

春「ヤマンバにオカメってちょっとした昔話じゃん!なにそれ!」

「お前、今彼女いるの?」

春「俺?いないよぉ。毎日遅くまで店舗周りしてるからなぁ。落ち着いて恋愛なんて出来ないよ。」

「忙しいんだな。」

春「お前は?」

「まぁ、一応いるけどな。」

春「まじか!いいなぁー!どこで知り合うんだ?」

「俺の場合は合コンかな。」

春「まぁ工場じゃ男だらけだもんなぁ。しかしいいなぁー。」

「彼女欲しくないの?」」

春「そりゃ欲しいよ。癒されたいなって思うからな。」

「そっか。」

春「だからさ、つい飲み屋とか行っちゃうんだよねぇ。」

「どういうとこ行くの?」

春「うーん、キャバクラが多いかなぁ。」

「へぇー、キャバクラ行くんだ?」

春「あ、そうそう。最近行きつけの熟女キャバクラがあんだけどさ…。」

「熟女キャバクラなんてあるんだ?」

春「そうなんだよ、年が近いからさ、話も合うし楽しいんだよねぇ。」

「あぁそぉ。」

春「確か写メあったよなぁ…。これこれこの子。きょうかちゃん!」

「どれどれ。」

春「結構、美人だろ?」

「え…あー、うん。」

春「いやー、俺より少し年上なんだけどタイプでさぁ。あーあ、きょうかちゃんと付き合えないかなぁー。」

「それ…うちの姉貴。」

春「あそぉー…え?」

「いや、俺の姉貴。」

春「え?そうなの?」

「うん、しかも既婚者。」

春「え!そうなの?」

「うん…。本名、はなえ。」

春「あ…あ、あそぉ…ははは。まあ飲もう!」

「うん、そうだな。飲もう飲もう!」

春「おやっさーん!熱燗ちょうだい!」

「他にはどんな遊びしてるの?」

春「まぁ、やっぱさ、人恋しい時もあるじゃん?」

「まぁーなぁー。」

春「んで、デリ頼むときもあるのさ。」

「ほほぉ。」

春「んで、最近お気に入りがいてさぁ。こないだLINEの交換までしちゃったよ!」

「へぇー、結構入れ込んでるんだねぇ。」

春「そおそお、その子の写メもあるんだけどさ。」

「どれどれ?」

春「ほら、ゆりあちゃん!結構可愛いんだよ!」

「え…。」

春「スタイルも抜群でさぁ。」

「えっと…あの…。」

春「ん?どうした?」

「なんていうか…非常に言いにくいんだけど…。」

春「え?まさか…また家族とか?」

「いや…そのぉ…。それ俺の彼女…なんだよね…。」

春「え?」

「うん…うん、俺の彼女。本名、まちこ。」

春「あ、いや…俺、知らなかったから…さ。なんかごめんな?」

「あ、うん…。」

春「…なんか…気まずくなっちゃったな…。」

「あ!いや、本当ごめん!そういうつもりじゃなかったんだけど、ちょっとショックだったから…。」

春「こんなこと俺が言うのもなんだけど、うまく行ってないのか?」

「うん、まぁ。ここ2~3か月まともに会ってなくてさ。」

春「そっかぁ。」

「そろそろ潮時かなとかね…。」

春「お前、大丈夫か?」

「正直言えば凹んでる。」

春「だよな…。」

「でもさ、寂しさを紛らわすために、最近、配信やったりしてるんだ。」

春「え?なにユーチューブみたいな?」

「まぁそんなとこかな。」

春「そっか。」

「女の子も集まるし、気を紛らわせて入るんだ。」

春「俺はその配信ってよくわからないんだけど、結構、人集まるの?」

「いやいや、せいぜい10人くらいかな。」

春「へぇー、すごいじゃん。」

「んで、そこで知り合った子と連絡先の交換しててさ。」

春「ほおほお。」

「たまに会話する程度だったんだ。彼女から連絡が来ない時は、ぶっちゃけ救われたかなって思ってたんだ。」

春「そんないい子がいたのか?」

「うーん、まぁタイプではないけどね?」

春「なに?顔写メとか見たの?」

「あー、うん。加工した画像だけどさ、加工しても…まぁあんまかわいくないんだけど。」

春「え、ちょっと見せてみろよ。」

「え?まじで可愛くないよ?」

春「いや、いいから見せてみろよ。」

「わかった。えっと…これ。」

春「お…おん。」

「最初はよかったんだけど、なんか最近、ちょっとくどいと言うか…頻繁に来る連絡に疲れたというか…。」

春「そ、そうなんだ。」

「ん?どうした?」

春「え?いや、なんでもない。」

「なんかあったか?」

春「いや…これ俺の妹…なんだよね。」

「え?」

春「うん、これ妹。」

「あ、いやその…うん、とても性格のいい子だよ!」

春「いや、おせーよ。もう可愛くないとかタイプじゃないとか言われてるんだぜ?」

「いや、それは本当ごめんて!」

春「しかも、お前のこと疲れさせちゃってるとか、兄として複雑だよ!」

「まじでごめんて!てか、お前も知らなかったとは言え俺の彼女を抱いてますからね!」

春「あ、うん。それは本当にごめん。でもね?こっちは知らなかったわけですからぁ!」

「そうだとしてもこっちも複雑だからね?」

春「もーやってられない!おやじ!熱燗おかわり!」

「あー、まじ飲まなないとやってられねーよ…。」

春「そりゃこっちのセリフだよ!少なくとも俺はお前の姉貴も彼女もかわいいって褒めてるからね!」

「そんなのお前の妹に言えよ!なんでそんな不細工なんだよって!」

春「あー!お前言っちゃった?ついに言っちゃったよね?」

「おーもうこうなったら言ってやるよ!お前の妹、不細工だよな!」

春「てめぇー!ちょっと表出ろよ!」

「何度でも言ってやるよ!お前の妹、超絶不細工だな!」

春「もお我慢できねぇ!本当にぶっ飛ばしてやる!」

「あ、ちょっと待って?LINEだ。」

春「はぁ?LINEなんて見てんじゃねーよ!」

「あ…。」

春「なんだよ。」

「お前の妹…彼氏できたって。」

春「はぁ?お前のこと?もしかしてゆりあちゃんと二股だったのかよ!おい!」

「いや、落ち着けって!俺がこいつの彼氏だったら、俺に彼氏できましたって言うわけないだろ?」

春「まぁ、そうか…ってうちの妹のことコイツって言ったかお前!」

「ん?「今、彼氏とデート中です。今夜は彼氏の友達が飲んでるって聞いて、今から合流しようかって話になりました。」こんな報告いる?お前の妹どうかしてんな!」

春「あーもう!お前ぶっ飛ばす!」

「ん?画像?あれ?これって…。」

春「んだよ!なんの画像が来たんだよ!」

「いや、彼氏との2ショットなんだけどさ…ちょっと見てみ?」

春「んなもん、見たくねぇーよ…ってこれ…。」

「うん、秋島。」

春「はぁー?ブス専の秋島が食いつくとかまじで複雑なんですけどぉ!」

「え?ちょっと待って?さっきのLINEに「今から合流しようかって話になりました。」ってあったよな?」

春「え?まさか秋島ここに来るの?」

「やば!秋島からLINE来た…「今から彼女を紹介しに行くわ!」だって!」

春「なんだよそれー。俺もうどうしたらいいかわかんねーよ…。」

「春山…ドンマイ!」

春「うるせぇーよ!ったく…ん?LINEだ。」

「え?秋島から?」

春「ううん、ゆりあちゃん。」

「ふざけんなよ!あーもー!こんな事ってあるんだな!」


おしまい

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