悲しみのメリークリスマス

2024年07月20日

小岩井 徹(こいわい とおる)♂30半ば:やっとできた彼女と初めてのクリスマスに心躍る

真白  凛(ましろ りん  )♀20半ば:小岩井 徹の彼女だが、金居桜の元カノ。

金居  桜(かない さくら )♀20半ば:真白 凛の元カノ。


小(クリスマスなんて大嫌いだ…。幼い頃、両親は共働きで、更に貧乏だったからロクに祝ったこともない。でも今年は違う。)

真「徹!お待たせー!」

小(今年はマッチングアプリで知り合ってから付き合い始めた彼女がいる。)

真「ねね!何処行くの?」

小「あー、実はさ…凛が行きたがってたフランス料理の店…。」

真「え!?もしかして…フレンチ斎藤!?」

小「うん。予約取れてさ…ははは。」

真「ほんと!?」

小「キャンセル待ちが出るまで毎日電話してさ、なんとか取れたんだ。」

真「え?」

小「凛が喜ぶかなって…。でもおかげで変な人みたいに思われちゃった。」

真「徹…わたし、どんなことがあっても徹の傍にずっといるね?」

小「う、うん。」

真「さぁ、じゃあ行こう?うーん!楽しみぃー!」

小(それだけじゃないんだ…指輪も…3℃の…。)

真「ねぇ、徹!前!」

小「え?」

(肩がぶつかる音)

金「きゃっ…いててて…。」

小「だ、大丈夫ですか?すみませんでした。」

金「どこ見てんのよぉ…もお…。」

真「えっ…ねぇ…・」

金「あ、あれ?…凛?」

真「桜!?」

小「え?知り合い?」

真「あー…うん。まぁ。」

金「久しぶりだね。凛。」

小「あ、そうだったんだ?」

金「この人、彼氏?」

真「うん…。そお。」

金「そっか…。」

真「ねぇ。」

金「なに?」

真「なんで突然いなくなったの?」

金「…。」

真「私の前からなんでいなくなったのよ!」

小「凛…し、親友か…な?」

金「…ごめん。」

真「本当に辛かった…。折角忘れるために…マッチングアプリまでして、大して好きでもない男と付き合って、あの日クリスマスの夜、突然消えたあの記憶を消したくて彼氏まで作って…。」

金「ごめん…。」

小「ちょ…え?それ…俺?」

金「急に不安になったんだ。凛を幸せにできるか…でも、もし凛が子供が欲しいと言い出したらとか。」

小「え?ちょっと…。」

真「だったら!だったらいきなり消えないでよ!私たち、そんな話し合いも出来ない仲だった?」

小「いやぁー…俺の立場は…?」

真「答えてよ!桜!」

金「私だって離れたくなかった!だけど、凛の幸せを…。」

真「私の幸せはあなたの傍だけなの!」

金「凛…。」

小「あのぉ…フレンチ斎藤の予約の準備が…。」

真「桜…桜ぁー…!」

金「ごめん…凛。もう離さない…。」

小「えっとぉ…凛…さん?フレンチ斎藤が…。」

真「そんなに行きたきゃ一人で行ってよ!私、桜と一緒に生きるの!」

小「えぇぇぇぇぇえ!?」

金「あのぉ…元カレさん。」

小「え?元カレさんって俺の事??」

金「私にも彼氏がいるんです。」

真「え!?そんな…。」

金「でも、私、凛と生きます!なので、そろそろ彼氏が来るので、一緒にご飯に行ってもらえませんか?」

小「いや、意味わかんねぇーし!」

真「さよなら…徹。」

金「元カレさん…ありがとう…。」

小「そんな!そんなことあって良い訳ないだろ!って待てよ!おい!」

金「もう離さないよ…。」

真「桜…好き。」

小「まじで何考えてんだよ!帰ってこい!凛!ってなんだよ!誰だよ俺の肩掴むのは!…え?だれ?さっきの子の彼氏?ちょっと一緒に追いませんか?え?どっちも行ける?何言ってんだあんた!俺は追うぞ!」

金「近くのホテル予約してるの。朝まで…ね?」

真「桜…うふふ。」

小「ちょ!待てって!凛もだけどあんたもだよ!まじ抱き着くなって!え?ちょっ…やめて!えっちょ…アーーーーーーーーーーーーーー!」

小(クリスマスなんて大嫌いだ…。幼い頃、両親は共働きで、更に貧乏だったからロクに祝ったこともない。でも今年は違う。) 

小「なんか…クセになりそ…。ふふふ。」


おしまい

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