すれ違いのGW

2022年06月13日

金森 静雄(かなもり しずお)30代:北海道住み。女性経験が少ない。思い込みが激しい。

佐々木 彩音(ささき あやね)30代:沖縄住み。金森静雄の遠距離恋愛の相手。静雄の相談役でもある。

女上司            30代:金森静雄の上司。目の敵のように厳しく指示を出す。メガネ美人


金「ほんと、参っちゃうよぁ…。」

「あまり考え込まないで?静雄はやれば出来るって信じてるから!」

金「彩音…。いつもありがとう。」

「いいの。私、静雄のこと…好きだもん!」

金「彩音…。」

「さて!もうこんな時間!早く寝ないと!遅刻したら上司さんから大目玉だよ!」

金「はぁ…こうしてずっと彩音と話してたいな。」

「静雄…。早く会いたいな…。」

金「そうだな…、沖縄と北海道じゃ距離あるもんなぁ…。」

「あ!そうだ!静雄さ?今度のゴールデンウィークで北海道に行こうかなって…。」

金「…え?」

「迷惑…かな?」

金「え?いやっ!そうじゃないよ!びっくりしてさ!」

「じゃあ…会ってくれる?」

金「もちろんだよ!いやぁー!まじか!いよいよ会えるんだ!?」

「うん!でね?4月の飛び石連休に有給当てて最大12日間、休んで静雄に会いに行こうと思うんだけど…。」

金「まじか!んじゃ、俺も有給使って合わせるよ!どこ行きたい?」

「静雄ったら!そんなにはしゃいじゃって…ふふっ。」

金「行きつけの居酒屋も連れていきたいしぃ、観光もしたいしぃ…。」

「ほらほら、もう寝ないと!まだ少し先の話なんだから、また今度にでも一緒に決めよ?」

金「えー、すっげーテンション上がってきたのにぃ!」

「よかった!これでしばらくは上司さんのことで嫌な思いしても乗り切れるかな?」

金「え?あー、あいつ?もうどうでもいいよ!彩音に会えるんだもん!やる気出てきたよ!」

「ふふふ、私も寝るよ!おやすみ…。」

金「あぁ、おやすみ…。」

(切断音)

金「あー!すっげー楽しみ!やべっ!寝られるかな…zzz。」


(ゴールデンウィークまで後10日)

「金森!」

金「え?は、はい。」

「あんたさぁ、プレゼンの資料読んだけどなにあれ?」

金「え?」

「毎回言ってるけど、論点を簡素化させてまとめろって教えたよね?」

金「はぁ…。」

「あんたの頭の中にはまとまってても、私らには伝わらないの!わかる?」

金「はぁ…。」

「あんたさぁ、やれば出来るんだからもっとしっかりしなさいよね!」

金「え?」

「なによ?」

金「あ、いや…。」

「まったく。あんた、なんか浮ついてんじゃないの?」

金「す、すみません…。」

「ゴールデンウィークが近づいてるんだから、それまでにプレゼンをなんとか成功させるわよ!いい?」

金「は、はい…。」

もっとしゃきっとしなさい!」

金「はい!」

「よろしい。さっさとやりなさい!」

金「はい!」


金(はぁ…。毎日怒られて憂鬱なんだよなぁ。でもびっくりしたなぁ。いつも厳しいし、オレのこと「あんた」呼びだけど、「やれば出来る」って彩音みたいなこと言ってたなぁ。ゴールデンウィークのことも言ってたし…。)

(呼び出し音)

金「ん?彩音だ。もしもし。」

「もしもし?聞こえる?」

金「聞こえるよ?」

「静雄、なんかあまり元気ないよね?なんかあったの?」

金「え?ううん。なんでもない。」

「また上司さんになにか言われたの?」

金「まぁ、いつものことだよ。」

「もぉ!ゴールデンウィークに会うんでしょ!もっとしゃきっとしなさい!」

金「え?」

「え、なに?」

金「あ、いや。」

「どうしたの?」

金「ううん。」

「変なの!」

金「そんなことよりさ、ゴールデンウィークどこいきたい?」

「うーん、そうだねぇ。早く決めないとホテルの予約取れなくなるしねぇ。」

金「ホテル?」

「え?うん。どこに泊まろうかなってネットで調べてるんだぁ。」

金「えー、そんなのお金勿体ないよぉ。」

「前もって予約すれば割引あるし!大丈夫!」

金「いや、そうじゃなくてさ、うち来いよ!」

「え?いいの?」

金「当たり前だろ!俺たち付き合ってんだから遠慮すんなよ!」

「えーでも…。」

金「え?いや?」

「いやじゃないけど…。」

金「じゃあなに?」

「だって…恥ずかしいもん…。」

金「え?」

「恥ずかしいって言ってんの!何回言わせるの!もう!」

金「今更なに照れてんだよ!可愛いなぁ!」

「やだもう…えっちなことする気でしょ?」

金「え?そそそそんなことないよぉ!」

「あぁ!やっぱりえっちな事する気なんだ!」

金「いや、だってさ…。」

「ふふふ、いいよ。」

金「え?」

「静雄なら…いいよ。」

金「ほほほ本当ですか???」

「もぉ、静雄ったらぁ。」

金「いやーもうほんとに頑張れる!よぉーっし!やるぞー!」

「ふふふ、期待してるね!」

金「うん!」

「さっ、そろそろ寝よ?」

金「え?あ!もうこんな時間!俺、風呂入んなきゃ!」

「じゃあ、またね!」

金「うん!おやすみ!」

「おやすみー!」


(ゴールデンウィークまで後5日)

「金森!」

金「は、はい。」

「あんた何回言わせるの!もう!」

金「え?」

「え?じゃないわよ!ゴールデンウィークまでに課長にプレゼンするんだから!」

金「は、はい。」

「あんたさ、やれば出来るでしょ!期待してんだからね!」

金「…はぁ。」

「頑張んなさいよ!」

金「わかりました。」

「頼んだわよ!あーあ!一応、ホテルの予約をとっとかなきゃなぁー!」

金「ホテル?」

「あんたには関係ないわよ!早く仕事しなさい!」


金(最近気が付いたんだけど、彩音と上司ってなんか似たとこあんだよなぁ。口調も声も違うんだけどなぁ。いや、待てよ?そもそも彩音とはお互いに写メ交換してないし、よく考えたら彩音が本当に沖縄に住んでるって確認したことなかったなぁ…。)

(呼び出し音)

金「もしもし?」

「静雄?まーた考え事?」

金「ねぇ、彩音ってさ…。」

「ん?なに?」

金「本当は北海道民ってこと…ないよね?」

「え?なに言ってるの?」

金「あ、いや…そうだよな。」

「なにかあった?」

金「ううん。俺さ、彩音のこと、まだよくわかってないなと思ってさ。」

「そっか。なにか不安にさせたかな?」

金「いや、そういうことではないんだけど…。」

「もう少しの辛抱だよ。必ず私、静雄に会いに行くからね!」

金「そうだな!うん!待ってる!」

「ふふふ、少し元気出たみたいだね!」

金「うん!ところでさ…。」

「ん?なに?」

金「彩音の写メ…なにかもらえないかな?」

「え?」

金「あ、いや。うん。会うまではお互い楽しみにするって約束だったもんな。」

「変なの。ゴールデンウィークになったら飽きるほど静雄に甘えるんだから、その時に見れるでしょ!」

金「ははは、そうだな!」

「もう言わせないでよ!恥ずかしいんだからね!」

金「ごめんごめん!」

「あ、もうこんな時間!明日もプレゼンの準備で忙しいから寝ないと。」

金「え?プレゼン?」

「うん。もうさー聞いてよ!あ、この話したら寝るね?」

金「あ、うん。」

「一緒のプロジェクトの子がいつも資料作り下手でね。何度言ってもわかってもらえないんだぁ。」

金「え!えぇ!」

「どうしたの?」

金「う、ううん。続けて?」

「ゴールデンウィークまでに終わらせてね?って言ってあるんだけど、本当に終わるか心配。」

金「ご、ご、ご、ゴールデンウィーク!?」

「うん。あ、でもちゃんと本人にはゴールデンウィークは予定があるって言ってあるから、静雄に会うために何が何でも休み取るからね!」

金「…うっ…なんか…胃が…。」

「え?静雄?大丈夫?」

金「あ、うん。こっちの話。」

「あ!いけない!すっかり遅くなっちゃった!もう寝よ!」

金「うん、おやすみ。」

「うん!おやすみー!」

(間)

金(上司と全く同じ状況だ。でも上司の名前は「ささきあやね」じゃなかったもんな…。ネットで知り合ったから、もしかしたら偽名なのかもしれないけど。でも、やっぱり彩音は上司なのかも知れない!だとしたらだぞ?相当な美人じゃないか!え?どうしよ!なんかワクワクして眠れ…な…zzz。)


(ゴールデンウィークまで後2日)

「取り合えずプレゼンはなんとか成功したな!」

金「そうですね。」

「そういえばあんた、4月のゴールデンウィークは出勤する?」

金「あ、いや。有給使います。」

「そっか。まぁ連休ゆっくりしなさいよ。」

金「なにか予定あるんですか?」

「え?私?うん、まぁちょっと…。」

金「あ、そうなんですね?」

「そういえばあんたさ、新千歳空港までの行き方わかる?」

金「え?」

「人と待ち合わせしててさ、私、新千歳空港行くの初めてなのよ。」

金「え、あー。後で経路をメールしておきますよ。」

「ありがと。やっぱりあんたはやれば出来る奴だ!」


金(いやー、まさか上司が彩音だったとは…。あれは間違いない!あんなに偶然が重なるなんてないもんな!まぁ、口やかましくなければ上司みたいな女性…案外タイプなんだよなぁ…。あードキドキしてきた!)

(呼び出し音)

金「もっしもーーーーーーっし!」

「え?静雄?どうしたの?」

金「くぅぅぅう!なんだろ!今ね、テンション爆上がり!」

「ふふふ、そんなに私に会えるのが楽しみ?」

金「そりゃね!あんな匂わせしといて俺が楽しみにしてないわけないだろ?」

「におわ…せ?あー、写メの交換のこととか?」

金「うん、まぁ色々!それよりさ、美味い行きつけの定食屋あっから、当日はそこ連れてくよ!」

「ほんと!?嬉しい!静雄のこといっぱい知れるんだね!」

金「あぁ、日ごろの俺とは大違いだってこと見せてやる!」

「いつも怒られてばかりだもんね…ふふふ。」

金「そうだね!彩音…いつもありがとな!」

「どうしたの急に?」

金「なんでもないよ!」

「明日仕事行ったらお休みだし、朝一で飛行機乗るから夜はいつもより早く寝るね?」

金「おう!わかった!」

「お土産、期待しててね!沖縄っぽいものいっぱい持って行くからね!」

金「一目でわかるものも用意してね!俺、沖縄のことあまり知らないから!」

「任せて!」

金「彩音…。」

「ん?なに?」

金「俺、お前がどんな人だろうと、絶対幸せにするから。」

「ちょっ…ちょっとぉ…。もう、静雄のバカ!」

金「照れんなよ!ははは!」

「でも…嬉しい。ありがと。」

金「好きだよ…彩音。」

「私もだよ…静雄。」

金「そろそろ寝るか!あと1日頑張ろう!」

「珍しい!静雄から寝ようだなんて。」

金「ゴールデンウィークは張り切っちゃうからね!そのためにも安眠大事!」

「そうだね!じゃあ私も荷造り終わらせて寝るね!」

金「おやすみ!」

「あ!そうそう!待ち合わせの場所で、私、わかりやすいように黄色のワンピースにピンクのスーツケースで行くからね!」

金「おう!わかった!じゃあ俺は、前に彩音とネットで選んだジャケット着てくわ!」

「おおお!楽しみ!じゃあ、寝よ!」

金「うん!おやすみ!」


(当日)

金(あー、緊張してきた。黄色いワンピースにピンクのスーツケースかぁ…どれどれ?)

「あー!いたいた!こっちー!」

金「え?や、や、やっぱりぃ!!!おーーーーーい!」

「あはは!本当に来てくれたんだね!嬉しい!」

金「俺もだよ!すっげーうれ…あれ?」

「拓也(たくや)ー!私会いたかったー!」

金「え?俺、拓也なんて名前じゃないし、どこいっちゃうのーーーー!」

「会いたかったー!」

金「ええええええ!誰その男!え?彩音って上司じゃなかったのぉ!!」

「もぉー!寂しかったんだからね!…ぐすっ。」

金「嘘だろぉぉぉぉお!なにこれ?なんで?え?どういうこと??」

「静雄ー!!」

金「え?この声は??」

「静雄ぉぉぉお!!」

金「げっ!ちょ!なにあのでかいシーサー!?」

「会いたかったー!!」

金「え?ちょ、なに?ガチのシーサーじゃん!シーサーみたいな顔の女がシーサー持って、俺の名前を呼びながらこっち来るんですけどぉぉぉぉお!」

「私!静雄がわかりやすいように、ちゃんと沖縄のお土産持ってきたんだからねぇー!」

金「いや、もうそれワンピースの色とか関係ねーじゃん!てか、上司どっかいっちゃった!!」

「静雄!大好き!」

金「ちょっと!空港で抱き着くな!てかもぉー!どっちがシーサーで、どっちが彩音かわかんねぇぇぇよぉ…!!」

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