異次元合コン(B)

2024年04月30日

全員同じ会社勤務:男は営業部、女は総務部
風見 秀平(かざみ しゅうへい):28歳。合コン主催者。東京都墨田区在住。眼鏡男子。
坂下 隆貴(さかした りゅうき):28歳。東京都江東区在住。
川城 観月(かわしろ みづき):23歳。OL。千葉県柏市在住。
井上 涼香(いのうえ りょうか):24歳。川城 観月とは大学からの友達。千葉県松戸市在住。


坂「なぁ、風見!合コンをセッティングしてくれて本当にありがとな!」

風「水臭いこと言ってんなよ!お前が総務に可愛い子がいるって教えてくれたから頑張ったんだよ!」

坂「でもよ?くっそ可愛くなかったか??」

風「いや、まじでくっそ可愛い子だな!」

坂「だろ?」

風「お前どっち狙ってんの?」

坂「いや、まだ決まってねぇんだよ。」

風「んじゃ、被らないようにしねぇーとな!」

坂「んで、気に入ったら…。」

風「お持ち帰りしますか!」

坂「まじほんと最近ストレス溜まってっからなぁー…たまにはいい女抱きてぇしなぁ!」

風「実はよ…俺こんなの持ってんだけど!」

坂「なにこれ!?お前これって…。」

風「第二営業部の田山いただろ?」

坂「え?田山って確か事件起こして首になったろ?」

風「そそそ!女の子眠らせて…」

坂「ば、ばか!お前そういうのは流石によくねぇーよ!」

風「大丈夫だって!実はな?自分で試してみたんだよ!」

坂「え?どうなった?」

風「それがよ、まぁ酔いの周りは早いかなぁーって程度で、あんま効かないけど、二袋入れて飲んだら爆睡!」

坂「んじゃ、調整出来るってことか?」

風「あぁ、任せろ!」

坂「頼りになるなブラザー!」

風「そいつは一夜を過ごした後に言えよ…相棒。」

坂「そいつも握らせてから言えよ…ふふっ。」


井「ねぇねぇ、今日の飲み会ってさ、営業の人達なんでしょ?」

川「そーなんだけどねぇ…。」

井「なに?なんかあんの?」

川「なんかさぁ…パッとしない店なんだよねぇ。」

井「え?どこ?」

川「鳥道楽の灰川西口店だって。」

井「焼き鳥?いいじゃん。美味しいし!」

川「まぁ、フレンチとかって堅苦しいわけじゃないけどさぁ、なんか飲ませる気満々みたいでさぁ。」

井「えぇー、私明日も合コンなんだよねぇー。」

川「え?なにそれ?聞いてないんだけど?」

井「だって観月の知らない人達だもん。」

川「そっかぁ…で?どんな人?」

井「証券会社の営業だったかな?」

川「今日の合コンよりレベル高いじゃん!」

井「あ!そだ!そんなことより今日の合コンって坂下さん来るんでしょ?」

川「え?うん、来るみたいだよ?」

井「あの人さ、いっつも同じネクタイだよね?」

川「そうなの?」

井「そぉそぉ!今時、営業でペイズリーは中々いないよ?」

川「あー、私ペイズリー苦手!」

井「あ、そろそろ鳥道楽だね!取り合えず今夜はご飯中心にしよーっと!」

川「ちょっと待ってよ!涼香!」


(自動ドアの開閉音)

風「あ、おい!坂下!来たぞ!」

坂「お!どれどれ…やっば私服もめっちゃ可愛いじゃん!」

川「お待たせしましたぁー!ちょっと仕事長引いちゃってぇー!」

井「初めましてこんばんはぁ!」

坂(お、おい!俺…川城ちゃんがいいんだけど席変われよ!)

風(待て、今変わったら下心丸出しなのバレんぞ?あとでトイレ行ったら変わるから!)

川「あのぉー…。」

風「え?あ!ごめんごめん!俺たちも今さっき来たところなんだよ!なぁ?」

坂「え?30分前からいただろ?」

井「えぇー!お待たせしちゃいましたかぁー?」

風「(バッカ!おめぇー!変なこと言うなよ!)き、今日は取引先回りがこの辺だったから早めに来たんだよな?ははは。」

坂「え?あ…おおお!そうそう!ちょうど日本橋にある商社で打ち合わせでこの辺いたんだよな!」

川「は、はぁ…。」

風「えっと…取り合えずお酒頼もう!ここ飲み放題だから何でも好きなの選んで!」

川(ちょっ…飲み放題って…。)

井「えっとぉ、私これ飲みたいんだけどいいですかぁー?」

風「え?どれどれ?朝摘みオレンジの生絞りミモザ…。」

川「飲み放題じゃないんですけど…ダメですかぁ?」

坂「いや!全然いいよ!じゃんじゃん!飲んじゃって!」

風「お、おん!飲みたいの頼んで!」

川「じゃあ私はこれかなぁ…レッドアイで!」

風「そしたら俺たちは生でいいよな?坂下?」

坂「え?ゴム持ってきたぞ?」

井「え?」

風「(ちょっとお前黙ってろ!素人童貞!)えっとぉ、あと二人とも何食べる?」

川「じゃあ…(ってほとんどカロリー高そうなもんばっかじゃんか…)」

風「え?」

井「あ、いやなんでもないよね!観月?」

川「先ずは漬物の盛り合わせと…お刺身がいいな!」

坂「ここの焼き鳥も美味しいんだよ!特にタレ!」

風「そそ!ここのタレは美味いよな!」

井「(タレもいいけど…あ!)私はこれがいいなぁ…鳥刺し!」

風「鳥刺しもいいねぇ…んじゃ後はこの串盛りと鶏の唐揚げと…坂下、お前は?」

坂(川城ちゃん…可愛いなぁ…)

風「おい、坂下!」

坂「え?あぁ、俺あれ、ポテトフライ。」

川(高校生か!)

井(待って観月!高校生は居酒屋に入れないからそこは「大学生か!」よっ!)

川(いや、そこじゃなくて…。)

風「じゃあ注文を送信して…。それじゃお酒が届く前だけどそれぞれ自己紹介でもしますか!んじゃ坂下から!」

坂「え?俺?あーえっと…坂下 隆貴(さかした りゅうき)、第一営業部で得意先を回ってます!住んでるところは江東区で、大学時代はラグビーやってました!同じ会社なのでこれからよろしくお願いします!」

(拍手)

風「じゃあ次は…川城さんからお願いします!」

川「あ、はい。えっと、川城 観月(かわしろ みづき)と言います。総務部で事務仕事を主にやってます。趣味は料理とお出かけです。最近ハマってる料理は自家製のパンチェッタで、カルボナーラを作ったり、休みの日はチーズタルト作ったりします!いつか誰かに食べてもらいたいなって思ってます!へへっ。」

(拍手)

坂「か、かわいい…。」

風「じゃあ次は…。」

井「はい!井上 涼香(いのうえ りょうか)です!観月とは同じ大学で、同じ会社に入社できると思いませんでした!私の趣味は、フラワーアレンジメントやハンドメイドです!このポーチも自分で作りました!いつか「お財布」が作れたらいいなぁーなんて夢見てます!」

(拍手)

風「はい、じゃあ3人とも自己紹介が終わったところで、最後にわたくしが自己紹介をさせていただきます!」

坂「よっ!ヒューヒュー!」

風「(ヒューヒューって古いなコイツ)ごほん。えー、わたくし、風見 秀平(かざみ しゅうへい)と言います。隣にいる坂下とは同期で、互いに営業成績を上げるべく切磋琢磨し…」

川「あ!お酒来ましたよ!風見さん!」

井「料理も美味しそう…!」

坂「取り合えず酒も来たし、乾杯しようぜ!風見!」

風「え…あ、うん…。じゃあかんぱーい…。」

川「かんぱーい!」

井「かんぱーい!」

坂「今夜の出会いに…乾杯…ふっ。」

風「だから一々古いんだよお前は!」


(一時間後)

坂(なぁ、そろそろ席変わってくれよ!)

風(え?あぁ、そうだな…んじゃトイレ行こうぜ?)

川「私ちょっと飲みすぎたのでお手洗いに行ってきます!」

井「えー!じゃあ私もいくぅー!」

風「あ、ちょっ、ちょっと待って!俺たちもちょうどトイレ行きたかったからさ!先にいいかな?」

井「えぇー!じゃあ先輩ですしぃー!お先にどーぞぉー!」

川「私たちは後輩だしねぇー!ここは先輩を立てないと!」

坂「え?立てる!?」

風「いいから行くぞ、素人童貞!」

坂「ちょっ、お前さぁ、それ言わなくてもいいじゃん!」

風「早く!ほら!あ、二人ともお酒足りる?頼んどくよ!」

川「ありがとうございます!いってらっしゃーい!」

(少し間を空けて)

井「行った?」

川「…うん、行った!」

井「見た?本当にペイズリーだったでしょ?」

川「うんうん!本当だった!」

井「それに風見先輩の胸ポケット見た?ボールペン刺さってたよ?」

川「あー、なんか営業マンって感じだよねぇー。」

井「じゃあ、そろそろ面倒臭くなってきたから、この薬、あの二人のお酒に入れちゃおうか!」

川「え?なにそれ!?」

井「睡眠薬!前に第二営業部の田山さんていたでしょ?」

川「田山さんって確か事件起こして首になった人でしょ??」

井「そぉそぉ!凄く効くんだって!」

川「なんでそんなの持ってるの??」

井「それはアヴァンチュールな大人の秘密!うふっ!」

川「うふっじゃなくて!」

井「田山が使ってた薬よ!効果覿面(こうかてきめん)なはず!」

川「えっ…じゃあそれを飲ませたら…帰れる?」

井「もちろん!まじで風見の話つまんないしさぁー、坂下はペイズリーだし。」

川「坂下の私を見る目がなんか蛇に睨(にら)まれてるみたいでちょっと…。」

井「じゃあ入れるよ!」

川「あ!早くして!戻ってくる!」

井「よし!完璧!」

風「お待たせ!」

坂「いやいやいやいや…お待たせ!観月ちゃん!」

川「え!目の前!」

井「じゃ、じゃあ私たちもトイレ行こうか!ね?観月!」

川「え?あ、う、うん!そうね!」

風「いってらっしゃい!」

坂「早く帰ってきてねー!」

風「…よし、行ったな。」

坂「やっと川城ちゃんの前に座れたよ!おせぇーよ!」

風「バカ!これはお前に対して席替えをしただけじゃなく…これを入れるタイミングを計ってたんだよ!」

坂「え?お前それ本当に使うのか??」

風「さっきからあの二人、アルコールの低い飲み物ばっか飲んでたからな、多少多く入れても酔いの周りが速いだけだ!」

坂「お前…なんか今めっちゃ悪い顔してるけど…頼れるな!!」

風「そして…俺の計算はまだ終わらない…。」

坂「え?なになに?」

風「あ、どうも…飲み物そこ置いといてください!」

坂「なに?新しいの頼んだの?」

風「あぁ、俺がトイレに行く前にな!」

坂「んで?どうすんだ?」

風「飲みかけのドリンクに薬を入れるんだよ!」

坂「え?なんで飲みかけ??」

風「ばっか!本当お前ばか!いいか?新しいドリンクが届いてる、席にグラスがいくつもあると邪魔、するとどうする?」

坂「…飲みかけを…飲み干す?」

風「ザッツライ!」

坂「でもそんなに上手くいくのかよ?」

風「あぁ…奴らは酔ったふりをしてる。冷静な判断が出来ないふりを演じさせるんだ。」

坂「…つまり?」

風「全員で飲みかけを一気するように持ち掛け、ノリで俺たちに合わせるように仕向けるんだ!」

坂「お前…天才かよ…。」

風「任せろ…あ、帰ってきた!」

井「お待たせしましたー!」

坂「あれ?そこ川城ちゃんの席だよ?」

川「あれー?酔ったのかなぁー?間違えちゃった!えへっ!でももうあまり動きたくないから私ここでいいやー!」

井「私もー!さぁ!先輩!飲みましょう!」

風「よぉーし!みんなそんなに残ってないよな?飲みかけを一気するぞー!かんぱーい!」

川(あ!飲むよ!)

井(シッ!怪しまれないように私たちも飲むよ!)

川「かんぱーい!」

井「かんぱーい!」

坂「君たちの…瞳の星空に…乾杯…ふっ。」

風「なんだこいつ。」

(4人とも飲み干す)

坂「ぷはーっ!くぅー…。」

風「ぶはぁ!」

川「おいしー!」

井「もぉー飲めない!」

坂(本当に…飲んだ!)

風(ふっ…計画と…お…あれ?)

坂「あ、あれ…?なんか…酔いが…。」

風「やばっ…ね、寝そう…。」

(風見、坂下のいびき)

川「…寝た?もしもーし…風見せんぱーい…?」

井「ふふふ…寝たようね!」

川「あー、やっと帰れるぅー!」

井「そうね!長居は無用だわ…でも、まだ料理とお酒残ってるし、頂いてから帰りましょ!」

川「まーじ、ほんとダルかったぁー!」

井「んじゃ、改めて!乾杯!」

川「かんぱ…あれ?」

井「え…なにこれ…?」

川「ね、眠くなって…きた…。」

井「ま、まさか…。」

(川城、井上の寝息)


(波の音)

坂「ぐぅ…ぐぅ…。」

川(ん…重い…)

坂「ぐぅ…ぐぅ…。」

川(…なに…?息苦しい…)

坂「ぐぅ…うーん…むにゃむにゃ…。」

川(…顔になにか…むにむにしたものが…当たってる…?)

坂「…いや…もう飲めないって…ははは…。」

川(え!?ちょっと!なに!?)

坂「ぐぅ…ぐぅ…。」

川「ちょっと!やだなにこれ!おっもたいっ!」

坂「うーん…ぐぅ…。」

川「え!?え!?えええ!?もしかして私の顔に当たってたのって…。」

坂「へへへ…じゃあさ…ちゅーしよ…。」

川「坂下先輩の股間!?」

坂「ちゅー…もう一回…ちゅー…。」

川「ちょ、ちょっとぉ!起きてください!坂下先輩!」

坂「ダメだって…それ以上は…ふふふ。」

川「ってここどこ!?」

坂「お会計が…高くなるぅ…えへへ…。」

川「なんつぅー夢見てんだこの人!おい!起きろ!」

坂「ん…うーん。」

川「坂下先輩!大変なんです!起きてください!」

坂「んだよ母ちゃん…今日は休みだぜ…もう少し寝かせろよ…ぐぅ…。」

川「なっ!何寝ぼけた上に私を母ちゃん!?おいふざけんな!起きろ!」

坂「ん…うるさいな…。あれ?川…城ちゃん?」

川「川…城ちゃん?じゃなくて!ちゃんと起きて!私たちなんか凄い所にいるんですけど!」

坂「凄いとこ…うわっ!なんだここ!」

川「見渡す限り海原と山に囲まれてます!」

坂「え?なんでこんな所にいるの?だって俺たち居酒屋で…。」

川「知りませんよ!とにかくスマホ…あれ?カバンがない!」

坂「あ、俺もだ。え?」

川「どうしよう!!」

坂「俺のモンストの連続ログイン記録が!今日中に帰らないと!」

川「はぁ?どうやって帰るって言うんですか?」

坂「えっと…あ!風見!あいつにlineしよう!って、あれ?俺のスマホ…」

川「だーかーらー!スマホがないっつってんの!!」

坂「あ、そっか!じゃあどうやって連絡したらいい??」

川「ちっ!ちっちっちっ!!」

坂「そんなに眉間に皺寄せて舌打ちしなくても…。」

川「あーもう!どうすんのよ!…あ!もしかしたら風見先輩と涼香もこっちに来てるかも!」

坂「そういえばあいつら見当たらないな?」

川「多分どこか別の場所にいるんじゃないかと…おーい!」

坂「そうだな!俺も叫ぶ!おーい!風見ー!」

川「涼香ー!いたら返事してー!」

坂「おーい!」

川「おーい!」

(少し間を空ける)

坂「はぁはぁはぁ…叫ぶって疲れるな…。」

川「はぁはぁはぁ…もお…本当にここどこなのぉー!あー!イライラする!」

坂「えっと…川城ちゃんてそんなキャラだったの?」

川「はぁ?あんま苛つかせないでくれる?」

坂「あ、すみません…。」

川「そうやってすぐ謝る男、私嫌いなの!」

坂「いや、だって怒ってるからさぁ。」

川「だからって一々謝んないでよ!」

坂「じゃあ俺はどうしろってんだよ!」

川「あんた自分じゃ何も考えられないの?」

坂「いや、何も出来ないってより…何もねぇーじゃん。」

川「はぁ…。後ろに何がある?」

坂「え?山。」

川「じゃあ食料の確保でもしてくればいいでしょ!」

坂「あ、そういや腹減ったかも!」

川「ならとっとと行きなさいよ!」

坂「え?川城ちゃんは?」

川「はぁ?なんで私が行くのよ!男の仕事でしょ!」

坂「なんで?」

川「はぁ?私は女なんですけど?体力を考えたらあんたの仕事でしょ?」

坂「そりゃ体力を考えれば俺の仕事だけど…」

川「なに?」

坂「その間、川城ちゃんは何してるの?」

川「え?あのぉー…私は…その辺に水でも汲みに…。」

坂「どこに?」

川「いやぁ…その辺かなぁーなんて…。」

坂「そんなの一人で探しに行く方が危ないじゃん。」

川「そんな危ない場所まで女を行かせる気ぃ?」

坂「わ、わかったよ…。取り合えず単独行動は危険だから民家とかないか調べながら一緒に探そう。」

川「え?私も行くの??」

坂「だってここどこかわからないんだよ?俺戻ってこられるかもわからないし。」

川「あーもう!わかった!わーかーりーまーしーたぁー!行けばいいんでしょ!行けば!」

(山を歩いてる足音)

坂「うわぁ…なんかすげー山だな…。ここ本当に誰も住んでないのかな…。」

川(あーもう!イライラする!なんであいつと二人なわけ??)

坂「ねぇねぇ川城ちゃん、これ食えるかな?」

川「はぁ?食ってみればいいじゃん!」

坂「うわっ…まずっ!」

川(こんなことなら風見先輩の方が頼りになるかも…。)

坂「かぁー…まじで歩き難(にく)っ!」

川(さっきから文句ばっか…。)

坂「見た感じだと川はなさそうだな…。」

川「はぁー…。」

坂「どうしたの?」

川「いえ、なんでもないです。」

坂「ぺっぺっ…これも不味い…。」

川「はぁー…。」

坂「川城ちゃんも探して…」

川「あー---!もういや!」

坂「どうしたの?」

川「どーしたの??ねぇ?こんなわけわかんない状況で、私たちなんでこんな所にいるわけ??」

坂「それは俺に言われても…。」

川「あー---!もう!帰りたい!ここどこなの??ねぇ!!」

坂「いや解んないよ!でもとにかく何とかしなきゃじゃん!」

川「はぁ?私があれこれ提案しなきゃあんた何にも出来ないじゃん!」

坂「そんなこと言うなら自分でどうにかすればいいんじゃね?」

川「なにその言い方!単独行動は危険だとか言ってこんな鬱蒼(うっそう)とした所まで歩き回らせて!」

坂「んー、まぁ落ち着いて?ね?」

川「落ち着け?冗談じゃない!涼香はもしかしたらここにはいないかも知れないし!」

坂「そうだよなぁ…風見もどうしてるんだろ…。」

川「家に帰れたら、あの子は今夜も合コン…なんで私を誘わないの!?」

坂「え?連日で合コンだったの??」

川「私は涼香を誘って昨日の合コンに参加したのに!自分は良い男たちと合コン…。なんなのあの子。」

坂「いや…川城ちゃん…井上さんだって他にも友達が…」

川「友達ぃ??…私だって友達だと思ってたのに…なのに抜け駆けして自分ばっか!いつもそう!」

坂「ちょっと川城ちゃん!」

川「男の前じゃいい女ぶってさ!冗談じゃない!知ってる?あの子、ハンドメイトが趣味とか言ってるけどあれ嘘だからね?」

坂「言い過ぎだよ川城ちゃん…。」

川「ずっと友達だと思ってたのに何なの?本当は私あの子のこと鬱陶しいって思ってたし!あの子もここのどこかで迷ってればいいのに!」

坂「なぁ…。」

川「なによ!」

坂「理解不能な出来事でパニック起こしてるのは解るけどさ、友達の悪口言って楽しいか?」

川「はぁ?なに?説教?」

坂「そんなんじゃないよ。でもさ、川城ちゃんって可愛いし、井上さんとも名前で呼び合う仲じゃん。」

川「だからなに?」

坂「友達の悪口を言うと自分も傷つくんだよ?だから、こんな時だから聞かなかったことにするけど、もう友達を悪く言ったりして自分の価値を落とさないで欲しい。」

川「なんであんたにそんなこと言われなきゃいけないの?何様?」

坂「ごめん。でもそんなこと言ってると段々と自分がくすんじゃうんだ。川城ちゃんは一目見た時から、こんな可愛い子がいるんだってときめいてたんだ。」

川「じゃあさぞかし幻滅したでしょうね!」

坂「ううん。そんなことはないよ。この状況で何とかしてあげられない自分がふがいないし、ごめんねって思う。」

川「…。」

坂「もっと俺が配慮してれば、きっと川城ちゃんは友達の悪口を言わなかったかも知れない。」

川「…なんなのよ。」

坂「だからごめん。俺、なんとか川とか食料とか探してみるから。」

川「あんたに私の何がわかるのよ!」

坂「わかんないよそんなの。でもさ、不安で仕方ないんだろうなとは思ってる。」

川「…当たり前でしょ…。」

坂「だから俺に出来るのは、この場所から帰るまで、俺は川城ちゃんの言うことを聞いて頑張るよ!」

川「は、はぁ?なにそれ?」

坂「さぁ、お嬢様!なんなりと申し付けてください!なんてね?」

川「ダサッ…つまらん…。」

坂「それでもいいよ?とにかくここから出られるように考えるよ。その為には川城ちゃんの力を貸してほしい。」

川「力ぁ?結局、人頼みじゃない!」

坂「あー、確かにそうなるかも。でもさ、俺、料理出来ないし、さっきから果物をかじっても不味いのばっかだし…」

川「それはあんたが見つけるのが下手なんで…」

坂「だから自慢の料理の腕で何とか食べられるものを作って欲しい!」

川「ちょっ…料理!?」

坂「うん、昨日言ってたじゃん!俺、食えそうなもの見つけてくるから、それを料理してほしい!」

川「…出来ない。」

坂「調理器具がないから?」

川「違うわよ!料理なんて元々出来ないの!嘘なの!あんた達みたいな男には料理が趣味って言っておけば興味が湧くでしょ!」

坂「え?嘘なの?」

川「そうよ!嘘!大嘘!残念だったわね!」

坂「ぷっ…ぷはははは!」

川「ちょっと!バカにしてんの?料理は女の仕事とか思ってない?時代錯誤よそんなの!」

坂「ごめんごめん、違うって!俺も料理できないし川城ちゃんも出来ないんでしょ?」

川「だからなによ!」

坂「いやー、二人して料理出来ないから、一緒にこの不味いの食うしかないねって思ったらおかしくなってさ!」

川「はぁ?あんた頭大丈夫?」

坂「俺も川城ちゃんも料理出来ないし、一緒に頑張ろうぜ!」

川「なんなのよあんた…まったくもう…きゃっ!」

坂「あ!大丈夫!」

川「いててて…最低!あー!転んだから手のひら切った!」

坂「え!ちょっと傷見せて!」

川「え…ちょっとどさくさ紛れに何私の手を触ってんのよ!」

坂「擦り傷だね…ちょっと待って?」

川「ちょっ…何すんのよ!」

坂「一応念のため、傷口にバイキンが入らないように、俺のネクタイでごめんだけど縛っておくね。」

川「お、大げさだよ…そんなの。」

坂「…っとぉ…よし!これでいいかな。」

川「…あ、ありがと…。」

坂「いやー礼には及ばないよ!やっぱ川城ちゃんは可愛い子だね!」

川「や、やめてよ…なによ!あんたさっきの約束忘れないから!」

坂「約束?」

川「ここにいる間、私の言うことなんでも聞くんでしょ!」

坂「あー、うん。そうだよ?」

川「じゃ、じゃあ!先ずはどっかゆっくり休憩出来そうな場所探して!」

坂「ふっ…仰せのままに…。」

川「ねぇ。」

坂「はい、お嬢様。」

川「それキザだしダサいし何かおっさん臭いよ?」

坂「え?まじで??嘘だろ??」

川「だからあんたモテないんじゃない?」

坂「ぐおぁ…、やべぇー…致命傷だ…。」

川「まぁ、いいわ。早く行きましょ。もし野生の動物とか出てきて襲われたりしたら大変だから!」

坂「あ、おう!そうだな。じゃあ先を行こうか!」

川「あ!見てあれ!」

坂「え?なになに?」

川「あそこ…少し開けてない?」

坂「おおお!流石、川城ちゃんだな!あそこまで行くのに足場が不安定だな…。俺が先に行くからついてきて!」

川「はぁ…はいはい。」

坂「しっかし歩き難いな…ん?なんか踏んだ。」

川「なによ、山の中なんだから石かなんか落ちてたんでしょ。」

坂「いやこれ…ガラス?」

川「え、なにこれ…綺麗…。」

坂「これあげるよ!」

川「え?」

坂「綺麗なものは川城ちゃんに似合うからな!」

川「ば、ばかじゃないの!こんなの…。まあいいわ。貰っておいてあげる。」

坂「あと少しだから頑張ろうね!」

川「…はぁ…。疲れた。早く行って。」

坂「よし!着いた!」

川「はぁー!もう疲れたぁー!」

坂「結構広いスペースだな。」

川「もぉー歩きたくなぁーいぃー!喉乾いたー!お腹空いたー!」

坂「ははは!子供か!」

川「何言ってんのあんた?…ん?」

坂「さてどうすっかなぁ。」

川「ねぇねぇ!ちょっとこれ見て…。」

坂「ん?さっきあげたガラス玉じゃん。」

川「違う!私のここにあるもん!」

坂「え?じゃあ他にも落ちてたってこと?」

川「…さっきあんたがくれた方が綺麗だから、今拾ったのあんたにあげる。」

坂「え?いいの?」

川「この私があげた物なんだから大事にしておきなさいよ!」

坂「おおお!川城ちゃんからプレゼントもらった!ありがと!」

川「ねぇ、それより陽が暮れたらどうすんの?」

坂「周りを見ても電気があるわけじゃないしな…。焚火でもしないと。」

川「どうやって?」

坂「うーん…ん?ポケットにタバコとライター入ってた!」

川「え!でかした!…こんなにもライターが貴重に思えたの初めてだ!でかした!坂下!」

坂「一先ず、枯れ木と枯草を…ってあれ?そう言えば…なんでポケットの中身はちゃんとあるんだろう。」

川「そんなこと知らないわよ!そもそもそれを言い出したら私たち裸になっちゃうでしょ?」

坂「は、裸!川城ちゃんの…。」

川「ば、ばか!人の事いやらしぃ目で見ないでよ!」

坂「あ、そうだね。これ以上妄想すると劇じゃなくなっちゃうもんね?」

川「劇?」

坂「劇?」

川「あんたが言ったんでしょ!」

坂「そうだっけ?まぁ、いいや。取り合えず燃える物探さないと…。」

(しばらく枯れ木や枯れ草を探す。間)

川「なんとか焚火出来たね。」

坂「大分、あたりが暗くなってきたなぁ。」

川「お腹空いてきた…。」

坂「そうだなぁ…。」

川「そうだなぁ…じゃないわよ!なにか探してらっしゃいよ!」

坂「そうはいっても…あ、そういやさっき枯れ木を探している時に洞窟みたいな場所見つけたんだよ!」

川「洞窟?」

坂「そこに行けばもしかしたらトンネルになってるかもしれないし、その先に人がいるかも知れないだろ?」

川「じゃあ、行ってきて!」

坂「行ってきてって…一緒に行ってくれないの?」

川「あんたバカなの?女の私が行っても足手まといになるでしょ?」

坂「それもそうだな。暗くなってきて転んで怪我をしたら大変だもんな。」

川「とにかく、私は火が消えないように見張ってるから、あんたはとっとと見に行ってきて!」

坂「わかった!松明替わりは…ライターしかないか。」

川「早く帰ってきてよね!」

坂「出来るだけ早く戻るつもりだけど…なんで?」

川「一々聞くな!バカ!早く行け!」

坂「はいはい、いってきます!」

川(こんな訳わかんない所なんだから、あんな奴でもいないと寂しいし心細いじゃん…。)

(洞窟前)

坂「思ったより距離あったなぁ…。ツタが邪魔してるなぁ。手で払うのは大変だぞこりゃ…。ん?この枝使えそうだな…これで払うか…。」

川「そろそろ一回ネクタイ外そ。ていうか、こんなネクタイで営業言ってて恥ずかしくないのかな…。」

坂「案外、中は広いな…あれ?もう出口だぞ?」

川「あれ?…坂下 信夫…?あいつの名前って坂下 隆貴(さかした りゅうき)だったはず…。」

坂「反対側もあまり景色は変わらないな…。ん?なんだこれ…。」

川「もしかしてお父さんの?」

坂「見たことない果物だな…これなら食べられそうだ…。」

川「形見…とか?」

(罠にかかる音)

坂「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!いてぇぇぇぇぇぇぇえ!」

川「なんか…複雑だな。」

坂「やべっ!声出しちゃった!罠があるってことは人がいるってことだろ?一旦逃げるか!どんな奴がいるかわかんないしな!」

(走り去る音)

川「ちゃんと洗濯して返そう。」

坂「はぁはぁはぁはぁ…。」

川「うわっ!ビックリした!驚かせないでよ!ばか!」

坂「はぁはぁはぁ…多分、人がいた。罠にかかった。」

川「え?ちょっと見せて?手が腫れてるじゃない!」

坂「痛いけど我慢できないレベルじゃないから…。それよりこれ!」

川「え!?果物?」

坂「道中、一口食べてみたけど凄く美味しかった!川城ちゃんも食べてみて?」

川「えぇ…じゃあ…いただきます…もぐもぐ…ん!?美味しい!」

坂「甘くて美味しいよな!」

川「うん!うん!美味しい!なんだろこの果物!」

坂「さぁ?でもこれで今夜はお腹いっぱいになるね!」

川「こっちも食べてみよ…あれ?」

坂「あれ…おかしいな…疲れてるのかな…。」

川「眠く…なってきた…。」

坂「zzz…zzz…。」

川「え?練るの早っ…あ、私も…限界…。」


(翌朝)

坂「へへへ…もなみちゃん…柔らかいねぇ…。」

川「ん…重たい…。」

坂「もなみちゃん…ぶちゅー…。」

川「え…なに…?はっ!」

坂「むぅー…。」

川「ちょっ!ちょっと!何してんのよ!ばか!」

(ビンタ音)

坂「いたっ!え?なに?え?どこここ?てか、ほっぺた痛い!」

川「早くどいてよ!てかどこ揉んでるのよ!えっち!」

(ビンタ音)

坂「ううっ…ごべんなざい…。」

川「もう!」

坂「あ!そうだ!起きて早々だけど、昨日のトンネル行ってみない?」

川「えぇ?」

坂「食べられる果物があるし、ここよりいいと思う!」

川「まぁそれもそうね。じゃああんた先頭歩いてね!」

坂「えー、横に並んで歩こうよ!」

川「人のおっぱい揉んでくる奴に何されるか解らないんだから、あんたが先頭歩きなさいよ!」

坂「あ…はい。でももう触らないから…。」

川「グーで殴るよ?」

坂「ごめんなさい。」

川「じゃあ行くわよ!」

坂「はい!」

(しばらく歩いて進む)

川「それにしても足元悪いわね…。」

坂「俺の後を辿りな?」

川「辿ってるわよ!」

坂「こわっ…。」

川「なに??」

坂「あ、いや…あー!ほら!あそこの洞窟!」

川「いかにも洞窟って感じね…。明かりなくて大丈夫なの?」

坂「すぐ抜けられるから大丈夫だよ!」

川「あれ?あの果物って昨日じゃない?」

坂「本当だ!これだけあればしばらく食べる物に困らないね!」

川「でも、人が住んでる気配ないんだけど…。昨日あんた罠にかかったんでしょ?」

坂「うん、だから誰かいると思うんだけどさ…。」

川「周りを見渡しても道もないし、そもそもあんたがかかった罠ってどこ?」

坂「うーん、暗かったからあまりよく覚えてないんだよね。」

川「はぁー…。とにかく散策するわよ!」

坂「散策かぁ…迷ったら大変だから山沿いを歩こう。」

川「え?この山沿い?」

坂「迷っても戻りやすいし…。」

川「そうね、たまには賢いじゃん。」

坂「こんな事態なのに、なんか自然に包まれてるのって癒されるよねぇ。」

川「でももし帰れなかったら…。」

坂「その時はイカダでも作るよ。そんで川城ちゃんだけでも帰れるようにするから!」

川「え?」

坂「なんて、カッコつけすぎか!ははは!」

川「誰が漕ぐのよ!体力いるでしょ!あんたも一緒に帰るのよ!」

坂「川城ちゃん…。」

川「早く散策するわよ!」

坂「あ、川城ちゃん!見てあれ!」

川「海?」

坂「あの海さ、俺たちがいた側の海の反対側なんじゃないか?」

川「じゃあ港かなにかあるかな?」

坂「行ってみよう!」

(しばらく歩き進む)

川「岸壁…。」

坂「一面…海。はっ!魚とかいるかも!」

川「ねね!あれ見て!あれって…!?」

坂「船か!川城ちゃん行こう!帰れるかもしれないよ!」


坂「おーい!」

川「おーい!こっちぃー!」

風「え!お前らいたの?」

井「観月!」

坂「え?おおお!風見ぃー!これは一体なんなんだよ!」

川「いいからアンタはとにかく手を振って叫びなさいよ!」

風「あ、あんた!?」

井「秀平君もほら!手を振って!おーい!」

川「秀平君!?」

坂「あ!こっち向かってくる!どっか降りるところないかな…。」

風「おい、坂下!あっちに降りるところあるぞ!」

井「いこ!秀平君!」

川「なによあんたたち!デキちゃったの!?」

坂「観月様!俺たちも!」

川「はぁ?あんたは下僕!」

風「なんだかわかんないけど、あと少しで船に着くぞ!」

井「海賊船とかじゃないよね??」

川「もうなんだっていいから!私トイレ行きたいの!」

坂「乗せてくれるみたいだ!」

風「よし、これで帰れる!」

川「揺れると…あ、漏れる!」

坂「その時は海にしちゃえばいいと思うよ!」

井「ペイズリーのネクタイは手放さないんだ?」

風「あれな…あれは…。」

坂「おい!船のトラップ降ろしてくれてるぞ!」

川「トラップはあんたが昨日引っかかったヤツ!」

風「井上さん、足元気をつけろよ?タラップ揺れるから!」

井「うん、秀平君…手を繋いでて?」

川「やっと乗れた!船員さんありがとう!トイレどこ!?ちょっと私トイレ行ってくる!」

坂「おい!白石さんっていう船員さんがみんなにって飲み物くれたぞ!」

風「助かったぁー!昨日から何にも飲んでなかったからな!」

井「くぅー!染みわたるぅー!」

坂「いやぁー!なんだこの飲み物!めっちゃ美味…あれ?」

風「おい…この感覚って…。」

井「おかしいな…昨日ちゃんと寝た…のに…。」

川「あー!すっきりしたぁー!ってあれ?なんでみんな寝てるの?まぁ無理もないか…とんだ目に遭ったもんね。え?これ飲んでいいの?うわぁー!助かりますぅー!船員さん!ありがとうございますぅー!いただきまぁーすっ!ごくっ…ごくっ…ごくっ…ぷはぁー!あー!美味しい!ってあれ…す、凄く…眠い…。」


風「う…うーん。あれ?今何時だ…?」

坂「…ぐぅー…ぐぅー…。」

風「起きろよ、坂下…。」

井「ん…あれぇ…ここどこぉー?」

川「…やだ…私、寝ちゃってた…。」

風「なんか変な夢を見てた気がする…。」

坂「ふぁーあ…あー!よく寝たぁー…あれ?俺のネクタイ…。」

川「え!?ちょっと!なんで私、ネクタイ持ってるの!?」

井「居酒屋…?」

風「みんなして酔いつぶれてたのか…。」

坂「おい!もう閉店時間じゃないか??」

川「やだ!終電なくなる!」

井「観月、急げばまだ間に合うよ!」

風「んじゃ今日はここで解散だな。」

井「そうだね、秀平君…。」

川「え?」

坂「秀平君?」

風「みんな気を付けて帰ってねー。あー頭ぼーっとする。」

川「あ、ネクタイありがと。これあんたに返しておく。」

風「は?」

井「あんた??」

坂「あ、はい!ありがとうございます!…あれ?」

井「なんか思い出せないんだけど…。」

川「変な夢見てたんだよね…。」

坂「俺、なんか真っ暗いところをくぐった気がする…。」

風「俺もだけど…まぁ、みんなで同じ夢を見るなんて事ないか!じゃあ川城さんに井上さん、また会社で!」

井「はーい。」

川「あ、はい…。」

坂「なんか気持ち悪くなってきた…。」

風「お、おい!坂下!大丈夫かよ!二人ともまたねー!」


川「ふぅー、ギリギリセーフ!」

井「なんとか電車に間に合ったねぇー。」

川「あーもう!まさか寝るとは思わなかった!」

井「いつの間に寝たかも覚えてないし最悪!明日の合コンは飲みすぎないように気をつけよ。」

川「明日の合コンいいなぁー!いい男いたら紹介して?ね?」

井「はいはい、わかりました…ん?」

川「どうしたの?なにそれ?ガラス?」

井「どこで拾ったんだろ…でも綺麗…。」

川「あれ?私もなんか持ってる…なにこれ、なんで私も持ってるの?」

井「え?わかんないよ…でも、なんかあったかい…。」

川「私はなんかイライラしてくるけど…なんだろ。仕方ないからカバンに入れとこ。」

井「あのさ、なんで私たち寝ちゃってたんだろ?」

川「それは…あ!」

風「おい!坂下!大丈夫か??」

坂「うっ…おえぇー…わりぃ…風見…後ろのポケットからハンカチだしてく…うっ…おえぇー…。」

風「仕方ねぇーな…ん?なんだこのガラス玉?」

坂「…ガラス玉…うっ…。」

風「お前のポケットに入ってたぞ?」

坂「なんだこれ?いつ拾ったんだろ?」

風「しっかりしろよ…まったく。今何時だ?…あれ?」

坂「ふぅー、少し楽になった。」

風「俺のポケットにも入ってる…。」

坂「どういうことだ?」

風「わかんねぇ。まっ、いっか。家にでも飾っておこ。」

坂「俺も部屋にでも置いておくか…。あのさ?」

風「お?」

坂「俺たちなんで寝てたんだろうな?」

風「しらねぇーよ。あ…思い出した!」

川「あんたがあの二人に眠剤盛ったでしょ?」

坂「俺も思い出した!お前があの二人に眠剤盛ったよな?」

井「そうだ!んで、あの二人も同じように…」

風「俺たちの酒に眠剤盛ってたんだよ!」

坂「んだそれ?んじゃお互いに…」

川「潰し合いをしてたってこと?」

井「はぁー、してやられたぁー。」

風「まぁ、なんだかわかんねぇーけどよ」

井「内容は忘れたけど」

坂「なんかいい夢見た気がするし」

川「また週明けから頑張って働こーっと。」

おしまい

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