マフラー
主(♀17歳) :
彼(♂17歳) :
母(♀40代前半):
父(♂40代半ば):
母「やだもぉー!お父さん!帰宅後はコートくらい脱いでよ!」
父「うぅー寒かったー!おおお!美味そうだなー!主も好きなハンバーグじゃないか!」
母「いいから早くマフラー脱いで!もお!」
父「あ、母さん。またマフラーほつれちゃってるから直しておいてくれないかな?」
母「はいはい、わかりましたよ。」
主「ねぇねぇ、お父さんのそのマフラーってもうボロボロだけど、新しいの買わないの?」
父「ん?あーこれか。お気に入りだからいつもお母さんに直してもらってるんだ。」
母「ふふふ…。」
主「え?なに、お母さん。なんで嬉しそうなの?」
母「だってこのマフラーはね?お母さんが初めてお父さんにプレゼントしたものなの。」
父「ちょっ…お母さん。さすがに娘の前では恥ずかしいじゃないか!」
主「へーっ!…ってもう何年使ってるのそれ!?」
母「うーん、あなたが生まれる前だから…20年位は前かもねぇ。」
主「え!?すごっ!」
父「あんまり恥ずかしい話はよしてくれよ?ちょっと着替えてくる。」
母「お父さん照れ屋だから。」
主「ねね、お母さん!お父さんになんでマフラーをプレゼントしたの?」
母「うーん、きっかけはデートの時にお父さんのマフラーを破いてしまって…。」
主「え?どういうこと??」
母「お父さんね、初デートの時にお母さんにマフラーかけてくれたの。その時、お母さん、木の枝に引っ掛けちゃって、お父さんのマフラーを破いちゃったの。そのお詫びにあげたマフラーなのこれ。」
主「へぇーーーーー。ん?一本のマフラーを二人で巻いてたの?」
母「そうよ?」
主「そっかぁー。」
母「主はいい人いないの?」
主「はぁ?べべべ別にぃー。いないし…。」
母「ふふふ。」
(翌日の下校時間)
主「はぁ…。さむーい…。」
彼「よぉ。」
主「あれ?彼君。部活終わり?」
彼「いや、委員会の帰り。」
主「そっか。」
彼「一人か?」
主「え?うん。」
彼「じゃあ…一緒に帰るか?」
主「え?…うん。」
(間)
主(ど、どうしよ…。彼君が隣にいる…。)
彼「主さぁ。」
主「え?」
彼「あー、うーん。その…寒くないのか?」
主「え?さ、さ、寒くないよ…。」
彼「ふーん…。」
主(え?なに?どういうことなんだろ…。)
主「あ…はっ…はっ…はっきゅしゅん!」
彼「え?」
主(くしゃみしちゃった!は、は、恥ずかしい…。)
彼「主、ちと待って。…ほらっ。」
主「わっ…。」
彼「少し短いけど…我慢しろよな。」
主「あ…。」
彼「ん?」
主「…あったかい…。」
彼「そか。」
主「ありがと…。」
彼「お、おう。」
主「あ!あのさ…。」
彼「ん?」
主「えっと、きょ、今日の委員会はどうだったの?」
彼「なんだそれ。まぁ今日は今度の修学旅行で観光する場所を…」
主(どどどどしよ…自分で聞いておいて緊張して話が耳に入らない…。)
彼「どうした?」
主「え?ううん…。なんでもない。」
彼「主ん家ってそっちだろ?」
主(もうこんな所まで来ちゃってたんだ…。)
彼「わりぃ、今日このマフラー洗う予定だから、ちょっと待ってろ?」
主「ねぇ!あのぉ…。」
彼「ん?」
主(もう少し一緒にいたいな…。)
彼「どした?」
主「え?あー、ううん。なんでもない。」
彼「そっか。」
主「何してるの?」
彼「え…うん。ちょっと待ってろ?」
主「うん。」
彼「…このカイロ使いかけだけど、まだあったかいから。」
主「えっ…ありがと。」
彼「じゃあ…また、明日学校でな。」
主「…うん。またね。」
(帰宅)
主(カイロ…。まだあったかいなぁ…。はぁ…さっきまで隣にいたんだよなぁ…彼君。)
母「おかえりなさい!」
主「あ…ただいま…。」
母「外寒かったでしょ?」
主「え?あ、うん。」
母「どうしたの?」
主「ううん、なんでもない。」
母「ほら、上着脱いで。」
主「うん…。あ、ちょっと待って!」
母「ん?なにそれ?」
主「うん?あ、友達にカイロもらったの。」
母「ねえ、なんか書いてあるわよ?」
主「え?」
母「あら、ちょっと…。」
主「あ…。」
母「ねぇ、どんな男の子?」
主「な、なな、なんでもない!部屋に行くね!」
母「今度、家につれてらっしゃい!ふふふ。」
主「え!ねぇ!え?うそでしょ…。これって…。」
彼(好きだよ…。)
主「えー!!ちょっ…えーーーー!!」
完