宅配トラブル

2022年03月16日

客   20代:会社員 一人暮らし

宅配員 20代:オタク デリバリーサービスを始めたばかり


客「あー、疲れたぁ。もぉークタクタ。明日休みだから晩御飯はデリバリーにしよーっと。えーっと…よし!これにしよっ!キングベーコンバーガーセットのポテトのLサイズっと…。あぁ…待ち遠しいなぁ。お腹減ったぁ…。」

(間)

(呼び鈴)

客「あ!きたきた!はーい!今出まーす!」

「お待た(もぐもぐ)せしま(ごくっ)したー。」

客「え?」

「こちらが商品になります。」

客「あ、はぁ。」

「またお願いしまーす。」

(ドアの閉まる音)

客「あの人…なんか食べてなかった?まぁ、いいや。うーんいい匂い!どれどれ…(ガサガサ)え?なんかポテト少なくない?あれ?Lサイズ頼まなかったっけ?これだけだっけ?うーん、気のせいかな。いただきまーす!」

(間)

(あくる日)

客「あーもうヤダ!今日はご飯作らない!宅配に決めた!何にしよーかなぁー…さっぱりしたのにしよーっと。よし!今夜は寿司だ!えーっと…握り12艦じゃちょっと少ないかもなぁ。18艦の方にしよーっと!」

(間)

(呼び鈴)

客「あ!きたきた!はーい!今出まーす!」

「お待た(もぐもぐ)せしま(ごくっ)したー。」

客「え?」

「おぉ…鼻にツーンときたでござる!」

客「え?ちょっ…。」

「こちらが商品になります。」

客「いやいやいやいや!」

「はい?」

客「いやちょっと待って?商品の確認してもいい?」

「次の宅配あるんで、もう行っていいですか?」

客「すぐ済むから!ちょっとそこで待ってて!」

「あー、早く帰らないと「美少女仮面プリティーももこ」が始まるでござるぅ。」

客「あ、ない!やっぱない!」

「 もういいですかぁー?次のお客さんが待ってるんですよぉ。」

客「いやお前、早く帰ってテレビ見るつもりだったろ?」

「それは拙者の自由でござる!」

客「ま、まぁそれはいい。それはいいけど!」

「もぉーなんでござるか!」

客「お前、寿司つまみ食いしたろ?」

「え?なんのことでござるか?」

客「2艦足りないんだよ!」

「言いがかりでござるよぉー。どこに拙者が食した証拠があるというのでござるか?」

客「18艦セットなのに、中トロといくらがないんだよ!16艦なんだよ!」

「知らないでござるよぉ。店側の手違いじゃないですかぁー?」

客「お前しらばっくれる気か?」

「はぁ…証拠もないのに疑わないでもらいたいでござるよ。」

客「ちっ…、あーもうわかったよ!店にクレーム入れるから!」

「あ!もうこんな時間だ!拙者は「美少女仮面プリティーももこ」が始まるからここでドロンさせてもらうでござる!さらばじゃ!」

(ドアの閉まる音) 

客「なんだあいつは!くそっ!店に電話しよっ!」

(間)

(翌日)

客「あー、もうこんな時間かぁ。今夜のご飯はなににしようかなぁ…。あ、思い出した!昨日はなんか腑に落ちなかったなぁ。結局お店の人が確認取れないからって、追加で中トロといくらを持ってきてくれたし。絶対あいつが食ってたに違いないんだけどなぁ。今日も遅くなったし、デリバリーにしようかなぁ…。はっ!そう言えば前にハンバーガー頼んだ時にポテト少なかった!あの時もあいつだったはず!うーん、今日こそ尻尾掴んでやる!よし!またキングベーコンバーガーセットのポテトのLサイズ を頼むぞ!」

(間)

(呼び鈴)

客「きた!」

「はい…(もぐもぐもぐもぐ)…商品。」

客「おい。」

「(もぐもぐ)…はい?」

客「お前…もう隠す気ないだろ?」

(もぐもぐ…。)

客「口からポテトはみ出てんだよ!」

「(げふぅー)…なんのことでござるか?(ぴちゃぺちゃ)」

客「なに指舐めてんだお前!ちょっとそこで待ってろ!今確認するから!」

「もぉー早く帰りたいでござるー!」

客「あー!」

「うるさいでござるなぁー。なんでござるか?」

客「ない!え?ちょっと!ポテトどころかハンバーガーも半分ないんだけど!」

「拙者は知らないでござるよぉ。」

客「しかもジュースにストロー刺さってんじゃん!」

「もういいでござるかぁ?」

客「これお前が食ったんだろ!」

「証拠はどこにあるでござるかぁー?んー?」

客「最近…。」

「最近?なんでござるか?」

客「最近…、あそこのポテトの塩っけ薄いよな?」

「そう!そうでござるよぉ。前はもっとしょっぱくて美味しかったでござる!だけど最近は塩っけも足りないし、味も少し落ちたでござる!」

客「だよなぁ。揚げ置きしてるのか、熱々じゃないことも多いしな?」

「そこ!そこでござるよ!今日もここに来る途中にポテトを食べたでござるが冷めてたでござるよ!許せないでござるよな!」

客「おい。」

「お前とはいい酒が飲めそうでござる!」

客「なんだそりゃ。お前さ、ここに来る途中にポテト食ったって言ったな!」

「え?」

客「今確かに言った!」

「き、き、気のせいじゃないでござるか?」

客「ほほぉー、しらばっくれるか?」

「しょ、証拠がないでござる!」

客「証拠ならここに…あるんだよ!」

「そ、それは!」

客「ボイスレコーダーだよ!もう言い逃れ出来無いからな!」

「それは幻の「宇宙女子高生刑事パピヨン」の限定ボイスレコーダーじゃないかぁぁ!」

客「はぁ?そんなことより…。」

「譲ってほしいでござる!今オークションでも中古で2万5千円もするでござるが、品切れで手に入らないでござるよ!」

客「いや、ちょっと…。」

「3万出すでござる!3万でござるよ!3万あったら「美少女仮面プリティーももこ」の限定フィギア付きDVDが買えるでござるよ!」

客「そのなんちゃらパピヨンって知らないけど、そんなにこれに価値あんのか…?」

「お願いでござる!この通り!もうつまみ食いしないでござるから!」

客「ほぉー、認めるんだな?」

「へっ?」

客「つまみ食いを認めるんだな?」

「…は、はい…。」

客「わかった、口止め料込みで4万で手を打ってやる!」

「よよよ4万!!」

客「お前はもうこれを4万で買うしかないんだよ!買わなければこのボイスレコーダーを、お前のとこの会社に聞かせるからな!」

「ひぃー!それだけは!それだけは許してつかぁーさいっ!!」

客「なんだコイツ。まぁいいや。で?どうすんだ?買うのか?買わないのか?」

「か、買わせてもらうでござる…。」

客「よし!じゃあこれ売ってやるよ!」

「本当でござるか!」

客「あぁ、その代わり2度とつまみ食いすんじゃねーぞ!」

「はい!あざーっす!!」

客「はぁ、もう今日は帰れ。」

「ひゃっはー!うーんパピヨンたーん!なんて今日はラッキーなんだぁー!」

(ドアの閉まる音)

客「ったく…。ま、いっか。あのボイスレコーダー、うちの会社で作った偽物だけど、あいつから欲しいって金置いてったしな。さーってと、4万あるし、ステーキでも食べに行こうかなぁー!」

 

おしまい

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