生徒会長の主張2
(コート上でドリブルしながら)
「私はバスケットが得意だ。こう見えても運動は好きなんだ。なぜバスケットが好きかって?」
「私も漫画は嗜(たしな)む。勉強の合間や、気晴らし程度ではあるが、その中でも幼い頃、兄の部屋に会ったメテオダンクという漫画を読んでから、私の中の何かがくすぶり始めた。」
「そして、高校受験も終わり、久しぶりに少年フライを読んでみたら、バスケット漫画があった。」
「そう、みんなも聞いたことがあるだろう。黒子(ほくろ)のバスケだ。」
「あれは中々楽しめた。少し異能力にも感じられたが、少年漫画だったのでそこは素直に読めた。」
「だが、私は運動は好きでも瞬発力が低く、かといって基礎トレーニングに集中してしまうと生徒会長の務めや大学受験の勉強の時間がなくなる。」
「そこで、私が参考にしたのは、髪の毛の緑色の青年だった。どこからでもシュートを決める3ポイント、そして惜しみない努力。そんな彼に憧れた。両親にお願いをし、庭にバスケットゴールを設置していただいた。」
「だが、シュートの練習は出来てもポジション取りまでは練習できない。そこで参考にしたのは髪の毛が水色の主人公だった。」
「私は生徒会長である立場だ。存在感も大きい。だが、意外とマネできたのはミスディレクションだった。」
「ミスディレクションと3ポイント…この二つが組み合わさることで私は誰にも邪魔をされることなくシュートを決めることが出来た。」
「だが、今私は更なる進化を遂げた。その名も…」
「スチューデント・カウンシル・プレジデント・アイ(生徒会長の眼)だ。」
「しかしこれを使うには非常にリスクが高い。リスクは高いが、私の前では誰もがひれ伏す。」
「発動条件としては…脱糞だ。しかも全力でだ。」
「君たちにはこの技をコピー(模倣)出来る者はいないだろう。あの日、私は壇上(だんじょう)で全生徒の前で脱糞をし、その時の感覚を思い出す。するとあの時の緊張感からゾーンに入るんだ。」
「みたまえ、私の右目を。迸(ほとばし)るほどに輝いているだろう。汗ではない何かが…。」
「私に近づくと足元から崩れ滑る…。そしてひれ伏す。」
「さあ、私を止めて見ろ!ほぉ…ゴール下でリバウンドを狙うか。もう一度言う。私はシュートを外さない!」
「このまま進む。君たちが私から一歩、また一歩と下がるたびに、私は一歩、また一歩と前へ進む。」
「零れ落ちる脱糞と共に私は進む。」
「そして至近距離からのシュートも決められる。」
「これが私の瞬発力を鍛えずにこの場のゲームを制する技だ。」
「ふっ…ブザービーターか…。この勝負も勝たせてもらった。」
「さあ、私はあの日を教訓とし、予めカバンに用意した替えの下着を取りに戻る。生徒諸君らは、私が脱糞しコートに巻き散らかされたものを片づけてくれたまえ。それと、それを踏んで転んだ諸君らは早めに手足を洗い流すと良い。」
「体育教師殿、私は自らの脱糞の始末をし、下着を変えた後に職員室へ足を運ぶ所存です。ただし一言…言わせてほしい。」
「学食には牛乳を置かないで欲しいと…。」