虚空に映る君の笑顔へ
2022年10月09日
男30半ば
女20後半:娘を生んだ後に他界。
男「はぁー…。今年も来たよ。誰か来たみたいだね。」
「昨日はユキを連れて、あのイルミネーションを見に行ってきた。」
「覚えてるかな。初めてデートしたあの場所。」
「やっぱりこの季節には寒さが染みたよ。」
「でも、ユキは喜んでた。目を輝かせながら、写真でしか知らない君と一緒に見たいって言ってた。」
「日に日に目元が君に似てきた。その笑顔を見るたびに君を…。」
「…君が重なる。」
「俺はまだ、君がいない生活がどこか別の世界に感じてしまう。」
「もう一度…もう一度でいい。君に会いたい。」
「なぜこれからって時に俺たちは…。」
「…会いたいよ。」
女(ごめんね…。)
男「…え?。」
女(ずっとそばにいるよ…。)
男「…君なのか…?」
女(ずっと…愛してるからね…。)
男「うっ…ぐすっ…。」
「…ごめん。俺の心はずっと穴が開いているみたいだった。」
「でも、そこにいたんだね…。ありがと。」
「さーってと!ん?パパは泣いてなんかないよ!さ、ママに挨拶して?」
「また来るねー!って。よーし、いい子だ!あ、ほら!走ると転ぶぞ!」
「このマフラーはママからユキへのプレゼントなんだから大事にしないとな!」
「何食べて帰ろうか!お子様ランチ?よーし、それならパパが作ってあげるからな!」
「え?ファミレスがいい…?はぁ…わかりましたよ…。」
完