劇団員
雨宮 旬(あまみや しゅん)45歳オス 演劇にて己を熱く語るニート
監督52歳
竹林 翔子(たけばやし しょうこ)28歳 独身 劇団デビューを目指して、一流企業の社会人と両立している
雨「なぜだ!なぜ私の気持ちを受け止めてくれないんだ!オードリー!」
竹「お願い!貴方の気持ちは私の心に響いているの!でも…でも貴方は…。アレンは…。」
雨「僕の何がいけないんだ!教えてくれ!」
竹「アレンとは身分が違うのよ…。私とは不釣り合いなの…。」
監「はい、カットカットぉぉ!」
雨「え?何がダメなんですか?」
監「君の熱い演技も良いけど、わざとらしすぎるんだよ。いいかい?この台本は…」
雨「100回は読みました!」
監「あ、うん。でもそこじゃ無いんだよ。100回読んでどうにかなるわけじゃないんだ。君のアレンは演出からズレてると言うか…。」
雨「そうですよ!アレンは僕に憑依してるんです!アレンと僕は表裏一体なんです!」
監「ちょっと君それ怖いよ。それと竹林君。君もアレンの気迫に押されてるじゃ無いか。ちょっと2人で役ではなく1人の人間になってやってみて。」
雨「え?素でですか?」
監「そうだ。セリフも見なくていい。素でやってくれ。」
竹「あ、はい…。素ですね。」
監「そーそー!はい!いくよー!よーい!アクションー!」
雨「なんでだよ…なんで受け入れてくれないんだよ竹林君!」
竹「もお!お願いだからほっといてよ!」
雨「え?ほっとく?」
竹「貴方の気持ちはLINEで毎日送られてきてるから知ってるの!同じ劇団だし構ってあげてただけ!」
監「おおお!いいぞ!」
雨「いやいやいやいや!よくないでしょ!こっちは恥部さらされてるからね?」
監「それでいいんだよ!いいぞいいぞ!続けて!」
竹「ったく、あんた一度鏡を見た方がいいよ?」
雨「オ、オレの何がいけなかったんだよ!劇団員のみんなで飲み会行ってLINE交換してくれたのはそっちだろ!」
竹「私、雨宮さんに教えてないから!なんか一生懸命スマホ振ってたけどLINE交換にスマホを振って交換できる機能はもうねぇーから!」
雨「え?なかったの?それであの時みんながLINE交換しようって言ってたのに誰も振ってなかったんだ。」
監「良い表情だ…。」
竹「裏で何で言われてるか知ってる?ロミオおぢさん!略してローミーおーぢ!」
雨「ロミっ…おぢ…。」
竹「それにアンタとは身分が違うし年不相応なんだよ!それに口説き方が時代錯誤だし!」
雨「どうゆうことだよそれは!」
竹「LINEの一文を読みましょうか?僕にとって君の存在は空には遠く、地には近い。君の笑顔に花咲く心は、まさに奇跡の一輪。毎日君を思う1日は…。」
雨「あーあーあー!やぁーめぇーてぇー!」
竹「おぢさん特有のポエム調の口説き文句ですよね!」
雨「あぁ…もぉ…死にたい…。」
監「頑張れ雨宮!いいとこだ!」
竹「そもそも誰がグルチャに呼んだか知らないし、そこから私にLINEしてくるようになって迷惑しかないんだけど!」
監「その地べたにこびりついたガムを見る表情…迫真の演技だ!いいぞいいぞ!」
雨「監督、演技じゃないからね?この子、本心だからね?」
竹「大体、45歳で劇団デビューなのは良いとしても、あんたニートじゃん!あたしは会社勤めしてるの!わかる?毎日、暇をしながら私のことを考えてるだけでしょ!」
雨「あっ…なんか目の前が真っ暗になった…。」
監「カットぉぉお!」
雨「え?」
監「悲痛なアレン、そしてお互いの階級の違い…。今のをセリフに乗せてやってみよう!」
竹「こんなんでよければ、私いけますよ?」
雨「いやオレが乗れないっての。」
監「ほらほら準備して!雨宮くん!竹林くんの熱が冷める前に…よーい!アクション!」
雨「なぜだ!なぜ私の気持ちを受け止めてくれないんだ!オードリー!ってこんなん出来るか!」
おしまい